
あなたの
華奢な耳朶の
外し忘れた
イヤーリングの輝きに
ぼくは戸惑い竦んだ
あなたの項へ
廻そうとした
ぼくの手が
イヤーリングに
引っ掛かって
ほんの一瞬
強張る
あのとき
ぼくたちの
ときのすごしかた
そのものが
生々しい現実として
迫り来る音を聞いていた
善悪でもなく
ましてや
愛情の深さの
問題でもない
あのとき
あの場所にいた
ぼくたちの
有り様への思いが
ぼくのこころの
隅っこで
音もなく激しく
渦を巻いていた
あなたを
狂ったように
抱き竦める
ほんの一瞬前に

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